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「株価指数連動型ランチ」のすすめ:暴落をバーゲンセールに変える遊び心

​自分のお金を株や投資信託に投じることに、少なからぬストレスを感じる人は多いのではないだろうか。価値が下がるかもしれないものを買うのは、本能的な恐怖を伴う。ましてや下落の最中には底が見えず、足がすくむのも無理はない。 ​しかし、インデックス投資の本質は、こうした局面で淡々と買い続けることにある。かといって、暴落を待ってキャッシュを遊ばせておけば、上昇局面での機会損失を招く。この矛盾をどう解消すべきか。 ​かつてリーマン・ショック後、私は「禁煙投資」という遊びに興じていた。 当時、なかなかやめられずにいた煙草だったが、相場が下げて「バーゲンセール」が始まると、不思議と一日くらいは我慢ができた。当時の煙草は一箱数百円。SBI証券の「S株(単元未満株)」を利用すれば、大手企業の株が一株単位で買えた時代だ。ちょうど煙草代と同程度の株価の銘柄が、いくつも転がっていた。 一箱を我慢する代わりに、企業のオーナーになる。月々の積み立てとは別の、このささやかな「逆張り」が、投資への恐怖を攻略する鍵となった。 ​現在、私は煙草をやめて久しいが、あの時の感覚を思い出し、新たに始めたのが「株価指数連動型ランチ」である。 ルールは至ってシンプルだ。株価が大きく下げている日、ランチのグレードを少しだけ下げる。そして浮いた数百円分だけ、インデックスファンドを買い増すのだ。 ​この投資法を実践する上で、守るべき鉄則が二つある。 ​第一に、決して無理をしないこと。 下落局面での買い増しは合理的だが、精神的な負荷も大きい。そのストレスで投資自体が嫌になってしまえば本末転倒である。あくまで「投資資金を必死に捻出する」のではなく、「本来消費するはずだった分を、未来へスライドさせる」という軽やかな感覚が重要だ。 ​第二に、義務化しないこと。 相場が下げていても、どうしても食べたいランチがあるなら、迷わずそちらを選ぶべきだ。飽きたら、あるいは気が向かなくなったら、いつでもやめていい。 ​メインの航路は、あくまで月々の積み立てである。それだけで十分なのだ。 「株価指数連動型ランチ」は、相場の荒波を乗りこなすための、ちょっとした「精神修行」であり「遊び」に過ぎない。しかし、こうした小さな積み重ねこそが、将来のランチを少しだけ豪華にするための、確かな種銭となるのである。

インデックス投資と「理」にかなった資産形成

インデックス投資、特に全世界株式への投資が、我々にとって最も「理」にかなった方法ではないかと考えている。 ​昨今の急激なインフレを目の当たりにすれば、何らかの形で投資を選択せざるを得ない。将来のために預かっている資金の価値が目減りしていくのを、ただ指をくわえて待っているわけにはいかないからだ。 ​かつて、先人たちは「土地」を保有することで資産を形成してきた。それが結果として、インフレに対する確かな備えとなったのである。数十年前、まだ価値が低かった頃に取得した土地を売却し、それを元手に新たな土地建物を購入したという事例は、我々の周囲にも数多く存在する。 ​しかし現代において、同じ手法が通用するかと言えば、決してそうではない。不動産をめぐる環境は大きく変わり、「土地さえあれば安心」という時代は過ぎ去った。確実に価値を保てるのは一等地に限られるが、それを個人が取得し、維持し続けることは極めて困難である。 ​現代におけるインフレ対策の主流は、株式の保有であろう。 だが、株式投資は一歩間違えれば「ハイリスク・ハイリターン」な賭け事の側面を帯びる。これでは、神様が戒められている「暴利をむさぼる」という心に、知らず知らずのうちに陥ってしまう危うさがある。 ​「暴利」がどの程度の利益を指すのかという解釈は難しいが、世界経済全体の成長という「市場の平均リターン」を享受することは、決して暴利には該当しない、自然な果実の受け取り方であると考えるのが妥当だ。 ​「ここが上がる」と目星をつけて特定の銘柄に集中投資するのではなく、世界全体の平均を狙う。これこそが、自分自身の「欲の心」を抑え、最も穏やかな心でいられる方法ではないだろうか。 ​私個人は、MSCI ACWI(全世界株式)に連動するインデックスファンド、いわゆる「オルカン」を保有することに決めたが、全世界に広く分散投資できるものであれば、その種類は問わないと思う。 ​大切なのは、自分の浅知恵や欲で立ち回るのではなく、世界の成長という大きな流れ(理)を信じて、淡々と種を蒔き続けることだ。これが、今の時代における一つの「備え」の形であると確信している。 ​※これは現時点での見解であり、今後の状況の変化によって変わり得るということを付け加えておく。

すべてを慈しみ、すべてを願う —— 宗教家が「オルカン」に行き着いた理由

私は今、運用資産のすべてを「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、いわゆるオルカンに委ねている。 かつては個別銘柄や特定のテーマ型投信を手にしていた時期もあったが、拭いきれない「違和感」が常に心の片隅にあった。その正体を見つめ直したとき、私は一つの確信に至った。 ​ 「宗教家こそ、オルカンであるべきではないか」 ​人間という生き物は、物事を完全に切り離して考えることはできない。投資と日常生活、あるいは信仰と経済活動を別物として割り切れるのなら、手法は何でもよいのかもしれない。しかし、現実はそうはいかない。 ​例えば、ある特定の企業の株を持つとする。 その瞬間に、私の心には「偏り」が生じる。もし出会った人がその企業の従業員であれば、私は純粋な「一対一の人間」としてではなく、「株主と労働者」という歪んだレンズを通して相手を見てしまうかもしれない。無意識にひいき目を向け、あるいは傲慢な期待を寄せてしまう。それは、人として対等に接するべき礼節を欠く行為ではないか。 ​もし、出会った人がライバル企業で懸命に働いていたらどうだろう。 その人の努力が実を結び、成果を上げることは、私の保有銘柄の価値を下げる要因になるかもしれない。その時、私は隣人の成功を心の底から祝福できるだろうか。他者の研鑽や繁栄を喜べないほど、宗教家として、いや、一人の人間として悲しいことはない。 ​業界単位で買えば済むという話でもない。特定の業種を選び取れば、選ばなかった他の業種が躍進したときに、何とも言えぬ「悔恨」が胸をかすめる。日本全体を買えばよいという考えもあるが、それでは隣国の繁栄を、自国の相対的な衰退として捉えてしまう危うさが残る。 ​ だからこそ、私は世界のすべてを抱きしめることにした。 ​オルカンという選択は、地球上のあらゆる営みを肯定することに他ならない。 世界のどこかで誰かが汗を流し、創意工夫を凝らして価値を生み出したとき、私はその成功を共に喜ぶことができる。どの国が豊かになっても、どの民族が反映しても、私の祈りと投資の果実は同じ方向を向いている。 ​誰が頑張ってもいい。誰が幸せになってもいい。 世界中の人々の幸福を願い、一切の差別のない慈悲の心を保つために、私の精神を妨げないのは、今のところオルカンしかないのだ。 ​これが、私が辿り着いた「...

🏦J-REITと銀行ETFの組み合わせで利上げリスクを乗り越える

1. インフレと利上げが同時に進行する時代 近年の金融環境においては、インフレと利上げが同時に進行する局面が増えている。インフレは実物資産の価値を押し上げる一方で、利上げは資産価格に逆風となる。投資家にとっては「どちらに備えるか」ではなく、「両方にどう備えるか」が問われる時代であ。 2. J-REITの魅力と利上げリスク J-REIT(日本の不動産投資信託)は、インフレ耐性のある資産として注目されている。 実物資産を裏付けとした安定収益 賃料上昇によるインフレ対応力 高配当利回りによるインカムゲイン しかし、利上げ局面では以下のようなリスクが顕在化する。 金利上昇による借入コストの増加 分配金利回りの相対的魅力の低下 株価下落による含み損リスク 3. 銀行ETFの利上げメリット 銀行は利上げによって収益が改善する代表的な業種である。特に日本の銀行は、預金金利の上昇が緩やかであるため、利ざや拡大の恩恵を受けやすい構造にある。 銀行ETFを活用することで、以下のメリットが得られる。 金利上昇による利ざや拡大 株価上昇余地と安定配当 J-REITとの逆相関によるリスク分散 4. 組み合わせの戦略的意義 J-REITと銀行ETFは、インフレと利上げという異なる環境に強みを持つ資産である。両者を組み合わせることで、ポートフォリオの安定性と収益性を高めることが可能となる。 インフレ耐性と利上げメリットの両立 高配当と収益改善のハイブリッド構成 逆相関によるリスクヘッジ効果 5. 結論:柔軟な発想で環境変化に備える 「インフレ=REIT」という単線的な発想にとどまらず、「利上げ=銀行株」という視点を取り入れることで、より柔軟な投資戦略が可能となる。ETFを活用すれば、個別銘柄の選定リスクを抑えつつ、セクターごとの強みを効率的に取り入れることができる。 投資環境に応じた構造的な準備こそが、長期的な安定収益への鍵となる。

投資スタイルを見極める──情報との付き合い方

株式投資を学ぶとき、多くの人がウェブサイトや書籍を頼りにするだろう。しかし、そこに書かれている情報を鵜呑みにする前に、まず確認すべきことがある。それは「どのようなスタンスで語られているか」という点だ。 スタンスとは、投資の期間や目的によって異なる視点のこと。誤解を恐れずに言えば、短期か長期か──その違いが、投資の判断基準を大きく左右する。 たとえば「ロスカット(損切り)」の重要性は、ほとんどの投資家が知っている。しかし、その徹底度はスタイルによってまるで異なる。短期売買を志すなら、ロスカットは命綱だ。損失が一定以上に膨らめば、感情を挟まず機械的に切る覚悟が必要だろう。 一方、長期投資では、ロスカットをしないという選択肢すらある。企業の成長を信じて持ち続けることが、結果的に資産形成につながる場合もあるからだ。 このように、同じ「ロスカット」という言葉でも、意味合いはスタイルによって変わる。だからこそ、情報を読むときは「これはどの投資スタイルを前提にしているのか?」を意識する必要がある。そうでなければ、長期投資の好機に慌てて売ってしまう──そんな本末転倒な行動にもつながりかねない。 すでに自分のスタイルが定まっている人は、それを軸に情報を取捨選択すればよい。まだ模索中の人は、情報の背景にあるスタンスを見極めながら、自分の投資観を育てていくことが大切だ。

逆張り長期投資──静かなる構え

市場がざわめくとき、人は「備えよ」と言う。嵐が来るぞ、現金を抱け、リスクを手放せと。けれど私は思う。備えるとは、恐れを抱くことではなく、拾う準備をしておくことではないかと。 価格が崩れ、誰もが目を背けるとき、そこにこそ、静かに光る種がある。逆張りとは、ただ逆らうことではない。市場の感情と構造のズレに耳を澄まし、確信をもって拾う行為だ。 私はこの数日、銀行と保険の株を少しだけ拾った。もともと目をつけていた銘柄たちが、嵐の中で手の届くところに降りてきた。それは偶然ではない。買いたいものを、あらかじめ心に置いていたからだ。 急落は、恐怖の顔をしてやってくる。だがその裏には、静かな贈り物がある。それを受け取れるかどうかは、日々の構えにかかっている。 逆張り長期投資とは、構造と時間に支えられた、静かな勇気のかたち。市場の悲鳴に耳を塞ぐのではなく、その奥にある真実に、そっと手を伸ばすこと。 備えるとは、 買いたい銘柄を知っていること。 逆張りとは、その銘柄に、恐れず手を伸ばせること。長期とは、その手を、離さずにいられること。

VAIOの記憶から、ソニーフィナンシャル(8729)へ

最近、ソニーフィナンシャルグループ(証券コード:8729)の株を買い始めた。ソニーという名前を聞くと、まず思い浮かぶのは、かつて愛用していたVAIOのノートパソコンだ。洗練されたデザインと操作感は、当時の国産PCの中でも群を抜いていた。MacとVAIO、どちらを選ぶか本気で悩んだ記憶がある。 そんなVAIOが、ある日突然ソニーの手を離れた。スマートフォンやタブレットが急速に普及し始めた頃のことだ。VAIOユーザーだった私は、驚きと少しの寂しさを感じた。経営が苦しかったのか? そんな憶測も浮かんだが、今振り返れば、あれは未来を見据えた冷静な判断だったのだと思う。 実際、今の私はパソコンを持ってはいるものの、使う頻度は月に数回程度。日々の作業のほとんどはスマホとタブレットで済ませている。ソニーは、そうした時代の流れをいち早く読み取り、パソコン事業から潔く撤退したのだろう。 そして今、ソニーはまたひとつの選択をした。ソニーフィナンシャルグループを連結から外し、独立した企業として再上場させた。持株比率は20%未満。これは切り捨てではなく、むしろ自律的な成長を促すための戦略的な一手だと感じている。 証券会社は持たない。あえて、持たない。ソニーは昔から、何を持ち、何を持たないかを見極める力に長けている。AIやセンサー、エンタメ領域に注力し、金融は金融で育てる。証券業という複雑で規制の多い領域には踏み込まず、保険と銀行に集中する。その選択が、ソニーらしい。 ソニーフィナンシャルの中でも、ソニー損保はCMなどでよく目にする。商品設計もユニークで、存在感がある。一方、ソニー銀行は堅実だが、やや控えめな印象だ。だが、それもまたソニーの美学なのかもしれない。派手さよりも、確かな選択を重んじる姿勢。 私は今、ソニーフィナンシャル(8729)に投資している。VAIOを手放したあの決断のように、今回もまた、未来を見据えた選択が正解になるかもしれない。持たないという選択の先に、どんな景色が広がるのか──それを見届けたいと思っている。

株式を持つとは企業の一部を持つこと

 株式とは何か 株式とは、会社に対する「所有権を示す権利」の一部である。株を持つ者は形式的にはその会社の株主であり、配当を受ける権利、会社の重要事項に関与する議決権、そして会社が清算された際の残余財産に対する請求権などを通じて会社の経済的成果に参加する立場になる。 所有と実態の違い だが「会社の一部を持つ」と言っても、株主が会社の資産を物理的に取り分けられるわけではない。株式は会社資本に対する持分を表す権利であり、会社が負う債務に対する責任は有限である。少額の株式保有者は法的には所有者であっても経営を左右する力は持たないことが多く、経済的利益を得る形は配当や株価の値上がりに依存する。 値動きとリスクの本質 株価は企業の業績だけでなく、将来期待、市場の需給、金利や景気など多様な要因で変動する。したがって株式投資は企業の成長に参加する手段であると同時に、市場変動による損失リスクを負う行為である。上場株は流動性が高く売買が容易だが、非上場株は流動性や情報開示の観点で扱いが異なる。 投資家としての視点 株式を買うとは「その企業の将来に対する期待に対価を支払う」ことである。投資家は企業のビジネスモデル、収益性、財務健全性、競争環境を見定め、リスク許容度に応じた分散を行うべきである。短期の値動きに振り回されず、権利とリスクの本質を理解した上で保有期間と目的を定めることが重要だ。 結論として、「株式を持つとは企業の一部を持つという考え方」は概ね正しい。ただし、その意味するところは「直接的な物的所有」ではなく、「会社に対する権利としての持分」であり、権利の範囲や市場での振る舞いを踏まえて理解する必要がある。

AIと資本──知性の選別が始まる

 「AIで株価予測して大儲けした」という話がインターネット上に溢れている。  それを見て、ふと考えた──もしAIが個人でも高度な投資戦略を実行できるなら、投資信託は不要になるのではないか? この問いは、単なる技術論ではなく、資本主義における知性の再配置という深い構造変化を孕んでいる。 AIが可能にする個人投資の高度化 AIは、過去の株価データ、企業業績、ニュース、SNSの感情分析などを統合し、銘柄選定や投資タイミングの判断を支援するツールとして急速に進化している。かつては機関投資家や富裕層だけが享受できた高度な分析力が、今や一般の個人にも開かれつつある。 たとえば、「日経平均採用銘柄のうち、配当利回り上位10銘柄に年3回リバランスして投資する」という戦略は、AIを使えば過去10年のシミュレーションが可能になる。しかも、個人が自ら設計し、実行できる。これは単なる効率化ではなく、投資という営みの本質が変わりつつあることを示している。 ネット上で戦略を共有し、他者と検証し合う文化も広がっている。投資はもはや閉ざされた専門領域ではなく、オープンソース的な知的実験の場になりつつある。アルゴリズムと構造化された思考が価値を持ち、直感や経験に依存する時代は終わりを迎えようとしている。 この流れの本質は、「知性のオープンソース化」にある。哲学的・構造的な視点を持つ個人が、AIと協働して戦略を設計する時代──それは、資本主義の知的再編が始まったことを意味している。 それでも投資信託が残る理由 AIの進化によって、個人が自ら戦略を設計し、実行できるようになったとはいえ、すべての人がその恩恵を享受できるわけではない。むしろ、AIを使いこなすには一定のリテラシーと関心が必要であり、それを持たない層にとっては、依然として投資信託が魅力的な選択肢となる。 投資信託は、分散投資の実現、専門家による運用、手間の削減、制度的信頼性など、個人では難しい部分を補完する役割を担ってきた。特にNISAなどの税制優遇制度との親和性は高く、制度の枠組みの中で資産形成を行うには適している。 また、完全放置を望む層にとっては、AIによる戦略設計やリバランスはむしろ煩雑に映るかもしれない。投資信託は「知性の器」ではなく、「制度の器」として残る──これは、金融の民主化が進む中でも、制度的な安...

投資は本当に怖いのか──リスクとリターンの再定義

「投資は怖い」と感じる人は多い。株で大損した話を聞けば、誰しも身構えるのは当然だろう。だが、その恐怖の多くは“知らないこと”に起因している。投資はギャンブルではない。リスクとリターンの関係を理解し、適切に管理すれば、投資はむしろ合理的な選択となる。 まず、リスクとは何か。一般には「危険」と捉えられがちだが、実際には「不確実性」や「変動の幅」を意味する。リスクは避けるべきものではなく、設計し、管理する対象である。資産配分や時間分散、目的の明確化によって、リスクはコントロール可能なのだ。 一方、リターンとは「利益」だけを指すものではない。時間軸と目的によって、その意味は変わる。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な成長を見据えることで、投資は感情のゲームから知的な営みへと変わる。 ここで注目すべきは、銀行預金の“安全神話”である。多くの人が「預金はノーリスク」と考えるが、それは名目上の話に過ぎない。インフレによって貨幣価値が目減りすれば、実質的な購買力は確実に損なわれる。また、資産を眠らせることで得られたはずのリターンを逃す“機会損失”も見過ごせない。 投資における「ハイリスク・ハイリターン/ローリスク・ローリターン」の関係を理解することは、恐怖を和らげる第一歩である。高いリターンを求めるなら、それなりのリスクを受け入れる必要がある。逆に、安定を求めるなら、リターンは控えめになる。この構造を知ることで、投資は“運任せ”ではなく“選択の連続”であることが見えてくる。 結局のところ、投資の恐怖とは「知らないこと」への不安であり、それを「知ること」への好奇心に変えることができれば、投資は自分の未来を選ぶ行為となる。リスクを知り、リターンを設計する──それこそが、投資に向き合う知的な態度である。

銀行預金では資産は守れない──インフレ時代の防衛としての資産運用

 「銀行に預けておけば安心」──そう考える人は多い。   最近では、ネット銀行の普通預金金利が0.5%という高水準に達している。これは確かに、従来の0.001%と比べれば“預ける意味”があるように見える。だが、それでもなお、資産を守るには不十分である。 2023年の消費者物価指数は前年比3.2%上昇。仮に今後もインフレ率が3%前後で推移するとすれば、預金金利0.5%では実質的に毎年2.5%ずつ資産の価値が目減りしていくことになる。数字上は増えていても、買えるものが減っていく。これは、資産が“減っている”のと同じである。 たとえば、1000万円を預金していたとしても、物価が年2.5%ずつ上昇すれば、10年後にはその購買力は約776万円分にまで下がる。これは、何もしないことで資産の約22%を失うということだ。預金残高は減っていないのに、生活の選択肢は確実に狭まっていく。 資産運用とは、資産を増やすためだけのものではない。むしろ、インフレや経済変動の中で「守る」ための手段である。株式や投資信託、不動産などは、インフレに強い性質を持つ。もちろんリスクはあるが、それは「不確実性」であり、知識と分散によってコントロール可能なものだ。 投資は怖い。そう思う人は多い。だが、もっと怖いのは「何もしないこと」かもしれない。資産運用は、未来の自分を守るための知的な選択である。預金金利が高くなっても、インフレがそれ以上に進むなら、私たちは“知ること”から始める必要がある。

インデックスファンドは、いつも「平均以上」にいる

私が投資信託を買おうと思った頃には、すでにインデックスファンドが主流になっていた。だが、かつてはアクティブファンドが市場の大半を占めていた時代があったという。その頃のインデックスファンドは、今よりもずっと優秀だったのではないかと思う。トップではないにせよ、かなり上位にランクインしていたはずだ。 なぜか。仮に、株式市場に参加しているのがアクティブファンドだけだったとすると、それらの平均がインデックスになる。つまり、すべてのアクティブファンドがインデックスを上回ることは、構造的にあり得ない。さらに、アクティブファンドは信託報酬が高い分だけパフォーマンスが下がる傾向がある。結果として、インデックスファンドは「平均以上」に位置することになる。 このような理由から、アクティブファンドが全盛だった時代においても、インデックスファンドはかなり良い成績を残していた。私は、今後も同じような現象が起こるのではないかと予想している。 現在、AIを活用した投資が注目を集めている。インデックスを安定的に上回るファンドも登場しており、私自身も一部を投資している。現時点では好成績を収めているため、今後さらに資金が集まり、AI投資が市場の主流になる可能性は高い。 しかし、もし市場のほとんどがAI投資によって構成されるようになれば、その平均がインデックスになる。つまり、AI投資が「平均」になった瞬間、インデックスファンドが再び「平均以上」の存在として注目されることになる。 こうした流れを考えると、今はAI投資に資金を投じているが、いずれどこかのタイミングでインデックスファンドへと切り替える時が来るのだろう。それがいつなのかは分からない。ただ、直感的には、それほど遠くない未来のような気がしている。

AIにすべてを任せる投資──ROBOPROに感じた可能性

これまで、アクティブファンドには投資してこなかった。理由は明確である。信託報酬が高いにもかかわらず、インデックスファンドを上回る成績を出すファンドが少ないからだ。優れたアクティブファンドも存在するのだろうが、個人投資家である自分には、それを見極める術がない。結果として、アクティブファンドは長らく敬遠してきた。 しかし最近、ROBOPROというアクティブファンドに少額ながら投資を始めた。これまでの考えを覆してまで投資した理由は、ROBOPROの運用スタイルに強く惹かれたからである。 ROBOPROの特徴──完全AI運用 ROBOPROの最大の特徴は、資産配分の判断をすべてAIが行う点にある。AIを活用するファンドは他にも存在するが、多くはファンドマネージャーがAIの助言を参考にしながら運用している。つまり、最終的な判断には人間の感情やバイアスが入り込む余地がある。 一方、ROBOPROは人間の判断を一切介さず、AIがすべての運用指図を行う。完全にAI任せである。これは、投資の世界において極めてユニークかつ革新的なアプローチだと感じた。 トランプショックとROBOPROの冷静な対応 投資を始めて間もなく、いわゆる「トランプショック」と呼ばれる関税問題が発生した。市場は大きく動揺し、いくつかのアクティブファンドは株価の下落に耐えきれず、損切りを選択した。人間が判断する以上、未知の状況に恐怖を感じてしまうのは当然のことだ。 そのような中、ROBOPROはむしろ積極的に株式に投資していた。正直なところ、自分はその動きを見て不安を感じていた。しかし結果的に、株価は回復し、ROBOPROは非常に高いパフォーマンスを記録した。 恐れずに割安な株式を買えたのは、感情に左右されないAIだからこそである。この冷静さと合理性には、深く感銘を受けた。そして、さらに資金を追加することにした。 人間の投資家は、もう必要ないのか? ROBOPROの運用を見ていると、AIの優秀さを実感せざるを得ない。もしかすると、これからの相場はAIが主役となり、人間の投資家が稼げる余地はますます狭まっていくのかもしれない。 もちろん、AIにも限界はある。しかし少なくとも、「恐れずに合理的な判断を下す」という点において、AIは人間を凌駕しているように思える。 今後もROBOPROの動向を注視しながら、AI投資の可能...

コモディティ投資への姿勢の変化について

以前、コモディティには投資をしないと書いた。だが、最近になってそこそこの量のゴールドをポートフォリオに組み込んだ。 コモディティに投資をしないと決めていた理由は、コモディティが自律的に価値を高めることはないという点にあった。株式は多くの人間が会社の価値向上を目指して努力するため、資産が増える方向へ力がかかっている。会社の価値が高まれば株価も押し上げられる。それはすなわち、株式保有者に利益をもたらすという構造になっている。 債券も同様である。お金を貸すという行為に対し、借り手は利息をつけて返そうと努力する。もちろん、返済不能となるリスクは存在するが、基本的には利息込みで返済しようとする力が働いている点で、資産が増える方向性は株式に近い。 一方で、コモディティは物質でしかない。例えばゴールドにしても、それ自身が価値を高めようとすることはなく、時間が経っても量が増えることはない。ただ所有しているだけに過ぎない。だからこそ、以前は株式や債券のように人間の努力が反映される資産への投資を好んでいた。 市場が不安定な局面では、株価が下落しやすいが、代わりに債券が上昇する傾向が見られた。株式と債券の組み合わせは、かつてはリスクヘッジとして最適だったように思う。だが、インフレが続く現状では債券の価値が目減りしやすい。インフレ率を上回る利回りを得られれば理想的ではあるが、そうなるとリスクが過度に高くなる。 そこで、以前のような債券に代わるリスクヘッジ資産を模索してきた。そして現時点では、ゴールド、ビットコイン、XRPが最適ではないかとの結論に至った。これらの共通点は希少性の高さにある。ゴールドは地球上の埋蔵量が概ね予測可能であり、今後の大量採掘の可能性は低い。供給が制限されているという点で、価格下落の大きな原因を一つ排除できる。 ビットコインとXRPも発行上限が定められており、希少性の面ではゴールドに近い。こうした性質により、株式に対するヘッジ資産として有効であると考えている。 言いたいのは、考え方は柔軟であるべきだということだ。相場環境が不変ならば、投資スタイルを一貫して保てばよい。しかし、現実には相場は常に変化する。今日まで通用してきた手法が、明日からは機能しなくなるかもしれないという危機感は持っておく必要がある。 「相場師語らず」という格言を聞いたことがある。相場師は自らの手法を...

ショックのときに組み替える

 トランプショックや関税ショックと呼ばれる株価の下落が起こったが、そのおかげで買い増すことができた。  資産価値は日々減少していたものの、その下落は一時的なものだと考えていた。  もちろん、それがいつ回復するのか、あるいはどこまで下げるのかは分からなかったが、なぜか遠くない将来に反発するような気がしていた――根拠はなかったが。 相場がショックで下落したとき、焦って行動するのは得策ではない。  むしろ、相場がいつショックを受けるかは予測できないのだから、常に備えておくことが重要だ。  次にショックが起きたときに、どんな行動を取るのか――あるいは何もしないのか――あらかじめ決めておくべきである。 私の場合、そろそろポートフォリオにゴールドを組み込もうと考えていたし、一度減らしたJ-REITを再び増やそうかとも思っていた。  さらに、世界的にインフレが続いていたため、債券の保有は減らすべきだという判断もあった。  そんな中でトランプショックが起きたため、思い描いていた通りのポートフォリオの組み替えを実行することができた。

ゴールドが調子良い

 ゴールドが高値を更新したというニュースを聞くたびに、「一夜の間に追証…」という言葉を思い出す。 彼とはバイト先で知り合ったわけだが、夜の倉庫などで働くのは、私も含めてたいてい訳アリだ。なぜこんな働き方をしているのかと聞いてみると、面白い果たしを聞けることがかなりある。 彼に聞いてみたところ、自営業がうまくいかなくて働きに来たということだったが、実は金先物で大損したということを後になって教えてもらった。順調に利益を積み重ねて、これで老後まで安心だというところまで来たらしい。その日は強気になってポジションを大きくして、眠りについたそうだが、朝になって起きてみると、金価格が暴落し、ポジションはもちろん強制決済。追証が発生。借金を追う羽目になったそうだ。 あれから数年経つ。金価格が高騰するという彼の読みは完全に当たっていたわけだ。レバレッジさえかけなければ今頃はそこそこ裕福になっていたのでは…、と思う。 この話を聞いた時、ちょうど私もポジションを大きくしようかと思っていたところだった。運用がうまく行っていた。現物でこれだけうまくいくのだから、レバレッジをかければ手っ取り早く稼げるのではないかと、そんなことを考えていたが、彼の話を聞いて考え直すこととなった。 ところで、少し前にゴールドのETFとビットコインを買った。ゴールドは調子が良いが、ビットコインは高値づかみをしてしまったようで、あまりよろしくない。といっても1000円くらいしか買っていないが。 100円単位で買えるのだから、少し試してみるのには良い。それでも1円も投資しないのと比べて学べることはほるかに多い。

為替ヘッジありにしようか

 そろそろ「為替ヘッジあり」でも良いかもしれないと思ってきた。 為替ヘッジをかけるメリットは、言うまでもなく為替変動のリスクを抑えられることだ。例えばドル建ての債券の場合、ドルベースでリターンがプラスになっていたとしても、円高になれば円に換算したときにリターンがマイナスになることがある。これを防ぐために、ドル売り円買いのポジションを組み合わせておくのが為替ヘッジだ。債券を買って、FXでドル売り円買いをしているようなものだと考えておけばわかりやすい。 ドルを売って円を買うというポジションを持てば、ドルの金利を支払って円の金利を受取る。円の金利が高ければ、その差を受け取ることができる。逆にドルの金利のほうが高ければ、金利差の分を支払わなければならないから、これがコストとなる。 リーマン・ショックの後、世界各国が金融緩和をしていた時期には、世界中が低金利で金利差というものもほぼゼロだったから、コストを気にしなくてもよかったが、ドルの金利が円の金利よりはるかに高い時期には、コストが大きすぎた。 ここ最近のドル円を見ていると、そろそろ為替ヘッジありを買っても良いかも。

下げたら買うか無視

 大暴落して騒いでいる人もいるようだが、暴落したら買い向かうか、あるいは気にせずいつも通り積み立てるというのが、相場のスタンダードだと思う。せっかく下げてくれたので、そのタイミングで債券を売って株式を買った。おかげで安く買えた。 積立NISA枠を活用するために、毎日数千円ずつ買っている投資信託も、これで買付単価を下げることができる。株が下げた上に円高だったので、かなり安く買うことができた。現時点ではまだ少しマイナスだが、そのうちプラスになるだろう。 念のためにもう一度書いておこうと思うが、下げた時に損切りするのは短期売買をするときだ。長期で投資して資産を増やそうと思っているのなら、暴落した時に買うのが普通だ。もちろん、下がっていくところで買うわけだから恐怖はある。が、分散するとか、買うタイミングを何回かに分けるとか、そういった工夫は大事だ。 積立の設定をしておいて、相場のことは何も考えないというのが、もっとも効率よく、かつストレスなく運用する方法かもしれない、などと最近は思う。

下げたら買い向かう

 こんなに下げたら、もちろん買い向かうずにはいられない。買い向かうときには少額ずつが基本だ。 買った直後に上昇に転じるかもしれないし、まだずっと下げ続けるかもしれない。それでも資金が底をつかないような買い方をすべきだろう。 幸い、今は数千円とか数万円で買うことができるから、ごく少額ずつ毎日買っていくというスタンスでいこう。 と、書いてみたが、これは長期投資の話。 これだけ下げたら、短期の買いは、さっさと損切りすべきだ。先日買ったJ-REATは、もう売り払った。

落ちるナイフを掴んでみた

 REITを買ってみた。コロナで相場が大きく動いた時に利食ってから様子は見ていたのだが、いくらなんでも安すぎるだろうと思って買うことにした。 下げている理由はどこにでも書いてあるが、最近はググるのも面倒なのでAIに聞くことにしてる。たまにとんでもない答えが返ってくることもあるが、まあだいたい平均的などこにでも書いてあるようなことを答えてくれるから、とても…助かる。 ところで、「落ちてくるナイフは掴むな」という相場格言がある。「地面に刺さってから抜け」と続くそうだ。しかしこれだけ落ちてくると掴みたくなる。仕方ないので掴み方を工夫しよう。 ありがたいことに、ETFは数千円から数万円程度で買えるものが多い。毎日少しずつ買うのが妥当か。投資信託なら、積立NISAを利用して、毎日一定額買える。便利だと思う。