好奇心が世界を救う―――知ることと争いの構造
都市伝説と“知らないこと”の力学 「世界を裏で操っているのはフリーメイソンだ」 そんな話を子どもの頃に聞いたことがある。 見えないもの、閉じられたもの、知り得ないもの──それらはしばしば恐怖の対象となり、やがて都市伝説として語られる。 人は知らないものを恐れ、恐れるがゆえに想像し、想像が過剰になれば嫌悪や攻撃へと転じる。 この構造は、個人間の誤解から国家間の戦争まで、あらゆる争いの根底に潜んでいる。 フリーメイソンという“神話” フリーメイソンは、世界最古の友愛団体でありながら、陰謀論の温床でもある。 その閉鎖性と象徴的な儀式は、庶民の想像力を刺激し、「世界の黒幕」として語られることも少なくない。 しかし、実際の活動は道徳教育や慈善事業が中心であり、政治的な関与は禁じられている。その実像は、むしろ“知的な社交クラブ”に近い。 高須克弥という“知っている顔” そんなフリーメイソンに所属している日本人の一人が、高須クリニックの院長・高須克弥氏である。彼は京都のロッジで代表を務めた経験もあり、活動内容や儀式についてもメディアで語っている。 「余生のスリルとサスペンスを求めて入会した」と語る彼の姿は、都市伝説の“恐ろしい黒幕”とは程遠い。むしろ、親しみやすく、ユーモラスで、社会貢献にも積極的な“知っている人”だ。 この“知っている顔”の存在が、フリーメイソンに対する恐怖を和らげる。それは、抽象的な恐怖が具体的な人間性によって中和される瞬間でもある。 知ることが争いを防ぐ 人間同士なら、お互いを知ることで争いは防げる。国同士でも、文化交流や市民レベルの対話が、誤解を解き、敵意を和らげる。 好奇心は、境界を越える力を持つ。 それは「理解しようとする姿勢」であり、「他者を知ろうとする勇気」でもある。 そして、都市伝説のような“知らないもの”に対しても、知ろうとすることで恐怖は物語へと変わる。 物語は語られることで生き、語られることで和らぐ。 好奇心が世界を救う 「高須院長がフリーメイソン? なんだ、意外と普通じゃないか」 そんな気づきが、都市伝説の構造をほどき、知ることの力を実感させる。 好奇心──それは、閉じられた世界に光を当てる知的な探照灯。 知る...