投稿

ラベル(インフレ)が付いた投稿を表示しています

買い物かごの重さ――暮らしの中の小さな防衛線

スーパーに立ち寄って、買い物かごをのぞき込むたびに、ふと戸惑うことがある。以前なら3,000円ほどでいっぱいになっていたはずのかごが、気づけば5,000円近くになっている。ニュースでは「インフレ率は3%前後」と語られているけれど、数字よりも身体のほうが先に「高くなったな」と感じてしまう。とくに毎日の食卓に欠かせない食品の値上がりは、静かに、けれど確実に家計に響いてくる。 けれども、この重さをすべて企業のせいにしてしまうのは、少し違う気がしている。店頭に並ぶ商品の裏側では、きっとたくさんの工夫が重ねられている。パッケージを少し簡素にしたり、輸送の手間を減らしたり、見えない部分での努力によって、値上げの波を少しでも和らげようとしている。派手ではないけれど、そうしたささやかな工夫には、もっと目を向けてもいいのかもしれない。 私たち消費者も、ただため息をつくだけでは、少しも前には進めない。まとめ買いをして冷凍庫を上手に使うこと、旬の食材を選ぶこと、ポイントやキャッシュレス決済を賢く活用すること。ひとつひとつは小さな工夫だけれど、積み重ねていくと、家計の心強い味方になってくれる。 そして最近は、「投資」という言葉も、生活の延長線上にあるものだと感じるようになった。インフレは、何もしなければ、時間とともにお金の価値を少しずつ削っていく。だからこそ、資産を守り、育てることは、どこかで特別なことではなく、日々の節約と同じ「暮らしの知恵」なのだと思えてくる。 インフレを肌で感じ、見えない企業努力に思いをはせ、自分なりの工夫を重ねていく。そうやって静かに備えていくことが、不安定な時代を生きる私たちにできる、ひとつの誠実な態度なのかもしれない。

銀行預金では資産は守れない──インフレ時代の防衛としての資産運用

 「銀行に預けておけば安心」──そう考える人は多い。   最近では、ネット銀行の普通預金金利が0.5%という高水準に達している。これは確かに、従来の0.001%と比べれば“預ける意味”があるように見える。だが、それでもなお、資産を守るには不十分である。 2023年の消費者物価指数は前年比3.2%上昇。仮に今後もインフレ率が3%前後で推移するとすれば、預金金利0.5%では実質的に毎年2.5%ずつ資産の価値が目減りしていくことになる。数字上は増えていても、買えるものが減っていく。これは、資産が“減っている”のと同じである。 たとえば、1000万円を預金していたとしても、物価が年2.5%ずつ上昇すれば、10年後にはその購買力は約776万円分にまで下がる。これは、何もしないことで資産の約22%を失うということだ。預金残高は減っていないのに、生活の選択肢は確実に狭まっていく。 資産運用とは、資産を増やすためだけのものではない。むしろ、インフレや経済変動の中で「守る」ための手段である。株式や投資信託、不動産などは、インフレに強い性質を持つ。もちろんリスクはあるが、それは「不確実性」であり、知識と分散によってコントロール可能なものだ。 投資は怖い。そう思う人は多い。だが、もっと怖いのは「何もしないこと」かもしれない。資産運用は、未来の自分を守るための知的な選択である。預金金利が高くなっても、インフレがそれ以上に進むなら、私たちは“知ること”から始める必要がある。

インフレリスク

 インフレとは物価が上がることを意味する。例えば、今奈良1万円で買えるものが、1年後には1万2千円出さないと買えなくなる、というような状況だ。物の値段が上がっていくことを指す。 お金というのは、日常生活ではいろいろな物の価値を測るために用いられる。例えば、私の乗っている軽自動車は115万円で、私の住んでいるところの土地は1坪当たり100万円よりは安いから、この軽自動車は1坪の土地より高い、という具合に、物の価値の基準として用いられる。 普段の生活では、お金を基準として価値を測る癖がついているから、お金そのものの価値というものを考えない。しかし、お金も資産の一種でしかないのだから、その価値を考えることは大事だ。物価というのは、物の値段の事だが、お金の価値の逆だという感覚は必要であろう。 例えば、今なら100万円あれば軽自動車を買うことができるわけだが、もしも物価が2倍になったとすると、200万円出さなきゃ買えない。つまり、「100万円=1軽自動車」だったものが、「100万円=0.5軽自動車」になったわけで、100万円の価値は半減したことになる。物価が上がるとお金の価値が下がり、物価が下がるとお金の価値が上がるわけだ。 インフレとは物価が上がることを指すことばだが、それはつまりお金の価値が下がることを意味する。物価がそうたいして変わらないのなら、金をたくさん持っていれば安心だと考えても良いが、お金に頼ると痛い目を見る。 「ワシの若い頃は、10円あれば腹いっぱい食えた」などとお年寄りが言っているのをよく聞いたもんだ。日本はデフレの時代もあったが、長い目で見ればインフレが続いてきたからそんなことになるわけだ。 老後のために1億円くらい貯めて安心していたとしても、もしかすると何十年か後に、うどん1杯が1億円になっているかも知れない。インフレリスクというのは、こういうものだ。 預金や債券もインフレリスクを抱えている。例えば利回りが2%の債券を持っていたとして、物価が変わらなければ実質的に2%儲かることになるが、インフレ率が、例えば3%であれば、実質的には1%損することになる。 給料も同じで、給料が5%上がったと言って喜んでいたとしても、物価が10%上がったら貧しくなっていくということに気づかなければならない。 株式や不動産を所有することでインフレリスクを回避できる。不動...