見たい夢だけが詐欺を呼ぶ
人は、信じたいものを信じる。見たいものだけを見て、聞きたいことだけを聞く。
それが「確証バイアス」という、人間の深い性(さが)だ。
多くの人は、楽して儲けたいという夢を見ている。
その夢に寄り添うように、詐欺は忍び寄る。
「元本保証で年利10%」──この言葉に違和感を覚えるだろうか。
「プロが運用するから安心」「特別な情報をあなたにだけ」──これらは、投資詐欺の常套句である。
詐欺師は、聞き手の欲望に寄り添う言葉を巧みに選ぶ。
「安全で儲かる」という幻想に目を曇らせたとき、現実のリスクは見えなくなる。
投資の世界には、揺るぎない原則がある。
それは「ハイリスク・ハイリターン/ローリスク・ローリターン」──金融の世界に刻まれた自然律だ。
高いリターンを得るには、高いリスクを受け入れる必要がある。
逆に、リスクを抑えれば、リターンも控えめになる。
この律に反する「安全で高利回り」という言葉は、現実には存在しない。
それは、欲望に寄り添う幻想であり、詐欺の入り口なのだ。
投資詐欺に遭う人の多くは、金融知識がないわけではない。
むしろ、「儲けたい」「損したくない」という感情が、知識の上に覆いをかけてしまう。
だからこそ、必要なのは「違和感を持つ力」である。
「そんなうまい話があるだろうか?」と自問する習慣。
自然律を思い出す冷静さ。
そして、「見たいものしか見ない」という人間の性を自覚すること。
保証された果実は、腐ることもある。
リスクのない世界に、リターンは育たない。
欲望に目を曇らせぬ者だけが、真の利益を手にする。
「安全で儲かる」──その言葉に違和感を持てるかどうかが、投資家としての分かれ道である。