資産運用の目的
我々が資産運用する目的はいくつかある。まず、資産を守ることが挙げられる。デフレしか経験していない世代なら、銀行預金が一番安全だと考えてしまうかもしれないが、インフレがやってくると銀行預金では資産価値を下げてしまう。
我々が受け取るお金は、もちろん自分の裁量で使えるものもあるが、世のため人のために使うべきものである。たまたまその時に必要がなければ、いざというときのためにとっておかなければならない。それが数日や数ヶ月くらいなら大した問題は生じないだろうが、次に必要になるのが数十年後ということも珍しいことではない。例えば建物を改修、あるいは建て替えるといった目的で使う資金なら、数十年後にむけて積み立てていくことも珍しいことではない。
しかし、インフレがやってくると、現金の価値は下がる。後で解説することになると思うが、年率7.2%のインフレ率が10年続くと、物価は2倍になる。つまり、現金の価値は半分になる。今の100万円が50万円分の価値しかなくなるわけだ。こんなことにならないように、最低でもインフレ率を上回る利回りで運用することは必要だ。
相場で稼ぐことができれば副業として成り立つわけで、しのぎとしては使える。が、実際のところは、短期の売買はそれほど簡単なものではない。短期になればなるほどゼロサムゲームに近づいていくわけだから、短期売買で稼ぐにはプロと戦わなければならない。経験があって毎日相場に立っているプロに、副業で片手間にやっている人間が勝てるわけがないと私は思う。情報技術が進歩したことで、いろんなツールを駆使すればできなくはないだろうが、あまり現実的ではない。
しかし長期的な視点で資産を運用していくのなら、相場にかじりつく必要はないわけで、ちろん時間はかけなければならないとはしても、空いた時間を活用して運用していくことは可能だ。少しリスクを許容できるのなら、収入の足しにすることもできる。
もちろんだが、高いレバレッジをかけて積極的に増やしていくやり方もある。もちろん高いリスクが伴う。ちょっとした環境の変化で資産の多くを失ってしまうということになりかねない。そのリスクを背負ってまで運用することは、我々の目的にはそぐわないだろう。
我々の本業は資産運用ではないのだから、まずはインフレ対策と、許容できる程度のリスクでの運用を目的とすることにする。
ただ、相場には短期売買で稼いでいるトレーダーもたくさんいるわけだから、短期売買についての知識も必要だろう。短期売買にも触れることはあるが、それは相場の動きを知るためであるということは先に断っておく。