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7月, 2025の投稿を表示しています

コモディティ投資への姿勢の変化について

以前、コモディティには投資をしないと書いた。だが、最近になってそこそこの量のゴールドをポートフォリオに組み込んだ。 コモディティに投資をしないと決めていた理由は、コモディティが自律的に価値を高めることはないという点にあった。株式は多くの人間が会社の価値向上を目指して努力するため、資産が増える方向へ力がかかっている。会社の価値が高まれば株価も押し上げられる。それはすなわち、株式保有者に利益をもたらすという構造になっている。 債券も同様である。お金を貸すという行為に対し、借り手は利息をつけて返そうと努力する。もちろん、返済不能となるリスクは存在するが、基本的には利息込みで返済しようとする力が働いている点で、資産が増える方向性は株式に近い。 一方で、コモディティは物質でしかない。例えばゴールドにしても、それ自身が価値を高めようとすることはなく、時間が経っても量が増えることはない。ただ所有しているだけに過ぎない。だからこそ、以前は株式や債券のように人間の努力が反映される資産への投資を好んでいた。 市場が不安定な局面では、株価が下落しやすいが、代わりに債券が上昇する傾向が見られた。株式と債券の組み合わせは、かつてはリスクヘッジとして最適だったように思う。だが、インフレが続く現状では債券の価値が目減りしやすい。インフレ率を上回る利回りを得られれば理想的ではあるが、そうなるとリスクが過度に高くなる。 そこで、以前のような債券に代わるリスクヘッジ資産を模索してきた。そして現時点では、ゴールド、ビットコイン、XRPが最適ではないかとの結論に至った。これらの共通点は希少性の高さにある。ゴールドは地球上の埋蔵量が概ね予測可能であり、今後の大量採掘の可能性は低い。供給が制限されているという点で、価格下落の大きな原因を一つ排除できる。 ビットコインとXRPも発行上限が定められており、希少性の面ではゴールドに近い。こうした性質により、株式に対するヘッジ資産として有効であると考えている。 言いたいのは、考え方は柔軟であるべきだということだ。相場環境が不変ならば、投資スタイルを一貫して保てばよい。しかし、現実には相場は常に変化する。今日まで通用してきた手法が、明日からは機能しなくなるかもしれないという危機感は持っておく必要がある。 「相場師語らず」という格言を聞いたことがある。相場師は自らの手法を...

記録よりも記憶を

 大阪万博にブルーインパルスが飛来するとの情報を得た。神戸からも見えるということで、観覧を試みることにした。六甲山の高所であれば十分に見えるとの記述がインターネット上にあったが、そこまで行くには時間を要する。出発まで残された猶予は約30分。そこで、山手に位置する近隣の灘丸山公園に足を運ぶこととした。 公園には10分ほど前に到着したが、既に多くの人々が展望の良い場所で大阪方面を注視していた。私もその一角に加わり、関西空港方面を中心に南の空を見渡したところ、近くにいた人物が「見えた!」と声を上げた。目を凝らしてみると、南の空から一本の白い飛行機雲が現れていた。 その雲を追うように視線を移すと、徐々に機体の姿が明瞭になり、旋回する様子まで確認することができた。貴重な経験であった。山の近くに位置する神戸という土地柄が、この体験を可能にしてくれたのだと思う。 周囲ではスマートフォンで撮影を試みる人が多く見受けられた。私も一瞬撮影を考えたが、思い直してカメラを構えることはなかった。近頃、スマートフォンによる撮影そのものに対する関心が薄れてきている。 私が撮影しなくても、他者によって記録された映像がネット上に投稿されるだろうし、テレビでも取り上げられるはずだ。自分で撮った映像よりも質の高いコンテンツに触れることは容易である。加えて、撮影に集中すれば肉眼での観察が疎かになる可能性がある。それならば、自らの目でその瞬間をしっかりと見ることにこそ価値があると感じた。 かつては、珍しいものに出会った際、写真や動画として記録することで他者と共有し、喜びを分かち合うことが目的であった。だが現在では、わざわざ記録せずともネットを通じて誰でも閲覧できる時代となった。そうした状況下では、記録に注力するよりも、その場でしか得られない実体験こそが、より重要なのではないかと考えるようになった。

期日前投票に行ってきた

先日、期日前投票に行ってきた。前回投票したのは、おそらく兵庫県知事選だったと思う。投票を済ませて役所の外に出ると、新聞社の出口調査に声をかけられた。初めてというわけではないが、毎回遭遇するものでもないので、何か得をするわけではなくても、ちょっとした幸運のように感じる。今回は、自分が投票した候補者を正直に答えた。 統計学の凄さについては、今さら私が言うまでもない。出口調査の限られたデータから当選者を予測することができ、しかも開票前にほぼ確定的な予測が示されることすらある。たいていその予測は的中する。であれば、出口調査そのものを選挙制度に組み込んでしまってもよいのではないか、などと考えたくもなる。ごく稀に誤りがあるとはいえ、その確率が十分低いならば、コスト面でも大きな利点があるはずだ。それほどまでに統計学は優れている。 しかし、出口調査のデータそのものが誤っていたらどうなるのだろうか──そんな意地悪な疑問も浮かんでくる。もし出口調査で、わざと嫌いな候補者に投票したと答えたらどうなるか。そうした回答が一定数集まれば、間違った前提で統計処理が行われる。そして、開票前に「当選確実」とされた候補者が、いざ開票されると落選していた、ということになるかもしれない。ぬか喜びさせるという新手の嫌がらせだ。 違法ではない。が、善いこととも言えない。おそらくバレることはないだろう。そんなことを思いついてしまうと、どこか試してみたくなる。しかし、私ひとりで統計結果を狂わせることはできない。とはいえ、こんな凡人でも思いつくくらいだから、同時に多数の人が同じように考えれば、真面目に立候補した人に悲しい結果をもたらすかもしれない。それを思うと、なんとも複雑な気持ちになる。大悪党が大犯罪を企てるときにも、こういう感情が芽生えるのだろうか。 期日前投票会場へ歩いている間、そんなことばかりを考えていた。誰に投票するかよりも、出口調査にどう答えるかの方が問題に思えてくるほどだった。 投票を終えて会場から出ると、そこに出口調査の姿はなかった。 正直、ほっとした

暑さとスマホ充電問題——身近なアイデアと犬の知恵

 暑くなった。スマートフォンが熱を持ちすぎ、充電が停止する事態が起きている。特に車内では充電できない。運転時にはスマートフォンをナビ代わりに使用するため、運転席から見える位置に設置するのだが、そこはたいてい直射日光が当たる場所である。スマートフォンが熱くなるのは、当然のことである。 どうしたものかと考えながら、近所の100円ショップを歩いていたところ、「スマホホルダー」なる便利な商品を見つけた。エアコンの吹き出し口に取り付けることができ、クーラーの風で直接冷却できる仕組みである。 以前からこのスマホホルダーの存在は知っていたが、エアコン吹き出し口への設置には機構上の理由があるものと考えていた。昔から、吹き出し口に取り付けるタイプのドリンクホルダーが販売されているが、それと同様の構造にすることで車に取り付けやすくなる。つまりメーカーとしては、改めて取付位置を設計する手間を省き、既存の製品を応用するだけで新商品が開発できるというわけである。 しかし、吹き出し口の前にスマートフォンを設置することで「冷却できる」という本質的な意義に、ようやく気づくことができた。 さっそく購入しようかと考えたが、冬場のことが頭をよぎり、購入を見送った。冬は逆にスマートフォンを温めてしまうだろう。 車に戻り、既存のドリンクホルダーにスマートフォンを置いてみると、クーラーの風で十分に冷却され、充電も正常に行われた。結果として、新たにスマホホルダーを購入する必要はなかったという結論に至った。 この文章を書いているのは自室であるが、現在、廊下に身を乗り出している。ひとりしかいない部屋でエアコンを使用するのも気が引けて、使用を控えていたところ、スマートフォンの充電が再び停止してしまった。手軽に冷やす方法はないかと思案していたところ、家にいる犬の様子を思い出した。廊下に行って、腹を床にぴったりとくっつけて涼んでいた姿である。 それに倣い、スマートフォンのカバーを外して廊下の床に直接置いてみたところ、再び充電が正常に行われた。なるほど、身近な知恵である。ありがとう、うちの犬。