ビットコインと税務署と、私のささやかな妄想
もし、突然ビットコインで大金持ちになってしまったら──。 まず浮かぶのは未来の豪邸でも高級車でもなく、 なぜか税務署の人の鋭い視線だったりする。 「あなた、そのお金どこから?」 と、じっとり聞かれる。怖い。 暗号資産には昔から 「海外に送金してこっそり節税してるんでしょう?」 みたいなイメージがつきまとう。 しかし一方で 「ビットコインは取引が全部丸見えです」 という説明もある。 どっちなんだ。 実はこれ、両方ほんとうらしい。 ビットコインの取引は“ブロックチェーン”と呼ばれる帳簿に 最初の一行目から全部しっかり記録されている。 世界で一番、嘘がつけない家計簿と言ってもいい。 ただ、この家計簿には名前が書かれていない。 載っているのは数字と記号だらけの「アドレス」。 つまり 「住所は分かるが、誰が住んでいるか分からない」 そんな感じ。 だから、こっそりやろうと思えばできなくはないけれど、 ひとたびアドレスと本人が紐づいた瞬間、 すべてが透けて見えてしまう。 優秀すぎる追跡力だ。 ところで私は、大金持ちになる訓練として(?)、 同じアドレスを正々堂々と使ってみる妄想をしている。 信頼できる取引所で本人確認を済ませ、 取引履歴はまるっと保存。 税務署に呼ばれても 「どうぞご覧ください。 取引はすべてこの一冊に。」 と胸を張って差し出すのだ。 …そんな日が来たらの話だけれど。 ビットコインは、 怪しいと思われがちな存在なのに、 その正体は案外「誠実の塊」みたいな仕組みだ。 隠すこともできるが、 正々堂々と使えば、 自分の潔白をこれ以上なく証明してくれる。 ならば私は、妄想しておきたい。 億り人とか兆り人(!)になったときのために。 「取引履歴を見せましょう」 と、税務署の前で涼しい顔。 そんな未来を目指して、 今日も小さな金額で、こつこつ積立。 ビットコインとともに、 誠実に、堂々と。