逸話篇一三二 おいしいと言うて
最初に宿しこまれた子供の数が九億九万九千九百九十九であったわけだが、現在の人口はこの数を大きく上回るのを、子供のときに不思議に思った。一応のところは解決した。逸話篇の132だ。 皆んなも、食べる時には、おいしい、おいしいと言うてやっておくれ。人間に、おいしいと言うて食べてもろうたら、喜ばれた理で、今度は出世して、生まれ替わる度毎に、人間の方へ近うなって来るのやで。(中略)各地の講社から、兎、雉子、山鳥などが供えられて来た時も、これ と同じように仰せられた、という。 こうやって人間が増えていったと考えることはできる。現在の人口を考えてみると、人間は長い間、おいしいと言って食べてきたのだろう。 おたすけにしても丹精にしても、成人してもらわなければならないわけだが、口で言って分かってくれないことは多い。こんなときには「喜ぶ」のが良いと、この逸話は教えてくれているように思う。「喜ばれた理」で、魚でさえ人間に近くなるわけだから、人間でも成人してくださるだろう。 理の子がなにか悪いことをしたと言って腹を立てたり、すべきことをしないと陰口をたたいたりしていると、成人してくださることはないだ。理の子が何をしてもこちらは全力で喜ぶくらいにならなければならない。不足を言っていてたすかってもらえるはずがない。